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成長における「資質」と「環境」

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人材輩出企業

「人材輩出企業」と聞くと、どのような企業を思い浮かべるでしょうか。

近年ではマッキンゼーやボストン・コンサルティング・グループ、アクセンチュア等のコンサルティングファーム出身者が各界で活躍しているのを目にします。

2013年7月20日号の週刊東洋経済では、約40ページにわたって「マッキンゼー」が特集されています。

それに伴って、東洋経済オンラインで『マッキンゼーの何がすごいのか』という記事が公開されているので、紹介したいと思います。

マッキンゼーには人材育成に関する2つのミッションがあり、その2つのミッションとは、「顧客企業の育成」「人材の育成」です。

この「人材の育成」こそがマッキンゼーが人材輩出企業たる所以なのでしょう。

「マッキンゼー自体が優秀な人材を引き付け、その人材の持つ才能を最大限に引き出しながら、彼らを夢中にさせる組織であり続けること」

「卒業生の活躍は人材育成に成功したことの証し。卒業生の成功はマッキンゼーの成功そのものだ」(ジョルジュ・デヴォー日本支社長)

このように、社内における活躍だけでなく、退社(卒業)した後の活躍も育成視野に入っています。

 

人材輩出の要素

では、なぜマッキンゼーやその他コンサルティングファーム等はこのような優秀な人材を輩出し続けているのでしょうか。

そもそもマッキンゼー等のコンサルティングファームは狭き門であり、そこに入社できる人達自体が資質を持った人で、またそのようなハイポテンシャルな集団の中で仕事をすることでより成長していく、といったことが考えられます。

言い換えると、元から備え持っている「資質」と周りの「環境」ということです。

では、この「資質」と「環境」はどれだけ能力の成長に影響するのでしょうか。

 

「資質」と「環境」

人事・組織領域を専門とするクレイア・コンサルティングのディレクター、橋本卓氏のコラムで「資質」と「環境」がどのくらい人の成長に影響を与えるのかについて書かれています。

A社とB社が統合した会社において行った人材アセスメントの結果、「資質」と「環境」の問題を考えるうえでのヒントになるであろう様々なことが判明しています。

 

入社5年目の社員(統合初年度)

まず、2社が統合した初年度に入社5年目の社員を対象にして行ったときの結果は以下のようになりました。

図1

 

旧A社は職場で厳しく人を育てることで有名な会社で業績も伸びていたが、旧B社は変化への対応が遅く業績が低迷していた。入社時点でのポテンシャルは旧A社の社員に分があるにしても、ここまでスコアに差が出るのは、職場のマネジメントや上司の影響が大きいことがうかがえた。

このように、職場での環境が大きく社員の能力に影響する。ということだったのです。

 

入社5年目の社員(統合3年後)

一方、この3年後に同じく入社5年目の社員を対象に行った人材アセスメントの結果は次のようになりました。

図2

 

入社時の会社が別なので、ポテンシャルには差があるはずだが、業務プロセスやマネジメントシステム、人事・教育研修体系などの「環境」をそろえたことが(わずか数年でも)能力開発に大きな影響を与えていることがうかがえる。

会社の制度・仕組み・システムを旧A社のものに統合したところ、人材アセスメントの結果で旧B社の人も旧A社と似たようなスコアを記録したのでした。

 

より上の世代の人材アセスメント結果

以上は入社5年目の若手社員を対象にしたものでしたが、もっと上の年代になるとどうなるのでしょうか。

実は、同じような人材アセスメントを、マネージャー候補層(30代前半)と部長候補層(40代)にも実施しており、マネージャー候補層は5年目社員を変わらなかったのですが、部長候補層に関しては違う結果が出ました。

図3

 

集団平均では旧A社の方が高いのですが、分布の広がりが大きくなり、2つの山のような分布をしているのです。

また、大部分が所属している「山」に着目してみると、旧A社も旧B社もあまり変わらない、という結果になったのでした。

これに関して、橋本氏は次のように推測しています。

旧A社の方が元々のポテンシャルと育成環境に優れていたと仮定した場合、旧A社で本当はもっと優秀だったはずの人が、平凡な(普通の)レベルにとどまってしまっている可能性がある。また、マネージャーを経験するという「環境」は、ポテンシャルと環境の面で恵まれていなかった旧B社の社員であっても、一定レベルまで能力を引き上げている、いう見方もできる。

 

成長におけるポイントは「環境」

以上に挙げた人材アセスメントの結果から、「資質」の影響は多少はあるが、それ以上に「環境」の影響が大きいということが分かりました。

元のポテンシャルが平均的な人でも、環境次第では優秀になれることもあれば、逆に元のポテンシャルが高い人でも平凡化してしまうということもあるということです。

企業にとっては、どのような環境を整備すれば社員の能力を底上げできるのか。社員にとっては、どのような環境の企業に行けば自分が成長できるのか。ということが問題になってくるのではないでしょうか。

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