製造業における部品成型と3Dプリンターの活用
「3Dプリンター」とは、三次元の設計データを入力すると、樹脂などのプラスチック素材で立体模型を作ることができる装置であり、精度の向上により近年メディアでよく取り上げられている。
海外では既に3Dプリンターで作られた部品を使った製品の販売例もあり、日本においては産業での活用を模索するための官民共同研究プロジェクトが行われるなど、注目が集まっている。
3Dプリンターが普及することで金型産業が変容し、製造業の産業構造に変革をもたらすと言われているが、そもそも製品の部品製造における金型の用いられ方を、自動車の内装パーツを例に見てみる。
自動車はおもてに表れている部分だけでも200以上の部品から構成されていて、プラスチック部品はその一つ一つに金型が必要となる。 各部品の設計データを元に金型を作成し、中に素材(PPやABS樹脂)を流し込み成形することで部品が完成する。(「たい焼き」の型も金型の一種と言える。)
部品のプラスチック表面には、よく見ると細かな模様が入っていて、これを「シボ(絞)」と呼ぶ。 質感向上や傷付き時の目立ち防止のために施されていて、グロス(光沢感)の均一さ、柄の入り方などに細かなコントロールが必要となる。 シボの深さは100μ前後と微細であり、もちろん金型にはこの表面の模様も反映されているである。
製品の開発工程はおおまかに、①デザイン ②デザインモデル作成・検討 ③試作品作成 ④性能テスト ⑤量産 という流れであるが、現実には、⑤本番部品の製造に対して3Dプリンターは、まだ完全な実用化という段階には至ってないという。
前述の自動車内装部品の成形についてもう少しみてみても、各パーツメーカーはシボメーカーが示す量産マスターに忠実に、部品の表面に柄が入るように職人技を駆使し金型を作成し、成形時の温度など細かい条件設定を徹底して管理することで目指す仕上がりを実現し狂いのない精度の高いパーツを完成させているわけである。
長年蓄積された技術をもった従来の製品づくりに対し、3Dプリンタを用いた製造がスピード、精度、金額面でも優れたものとなるには、ある程度時間を要するのかもしれない。
一方で、開発工程②のモデル検討ではすでに3Dプリンターが活用されていて、建設業における建築物の模型の作成や、電機メーカーでの携帯電話のデザインモックアップなどの例がある。 イメージをスピーディーに可視化することでクライアントやチーム内の製品像の共有を促すのだろう。
他にも販促物的な活用の可能性も期待され、うまく使うことで表現の幅が広まり、新たなビジネスチャンスを掴むきっかけとなることが期待される。
2013/12/16 | 未分類
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